星達の新たな旅立ち 〜5th Live@SAITAMA Day2〜

埼玉県大宮市(現・さいたま市)は鉄道の町として知られている。1885年に日本鉄道(当時)の大宮駅が開業し、遅れて駅の北側には工場が、南側には貨物駅が置かれ、埼玉県はおろか国内でも有数の『交通の要所』となった。しかし時代の流れとともに町は姿を変えていく。前者の工場は規模が縮小され、敷地の一部が鉄道博物館となった。後者の貨物駅は約30年前に廃止、現在は操車場となっている。そして貨物駅の跡地は『さいたま新都心』として、新たな一歩を踏み出すことになる。

 

2018年6月2日~3日。さいたまスーパーアリーナにて、ミリオンライブ!5thライブ『BRAND NEW P@RFORMANCE!!!』が開催された。2日間公演のうち、DAY 2はジュリア役・愛美さん含む19名がステージに立った。

武道館での4thライブから1年3ヶ月弱、ミリオンライブ!にとって非常に大きな出来事があった。

リズムゲームアプリ『ミリオンライブ!シアターデイズ(以下、ミリシタ)』が稼働を開始した一方で、『GREE版 ミリオンライブ!(以下、グリマス)』が約5年の歴史に幕を閉じた。そんな激動の期間を経て迎えた5thライブは偶然なのだろうか、合同ライブ『M@STERS OF IDOL WORLD!!2014』と同じ会場。MILLIONSTARSが大きな一歩を踏み出した場所で、新たな仲間と共に新たな一歩を踏み出したのだ。

そんな記念すべきライブだからこそ、全ての曲に対して感想を述べておきたいのだが、ここではジュリアの新ソロ曲である『スタートリップ』に絞らせていただく。己の考えを言語にする能力が著しく劣り、かつ筆の進みが恐ろしく遅い私である。アンコール含め全35曲分の感想を書くとなると、少なくとも2世紀はかかるだろう。

 

私にとっては初めて足を踏み入れるスーパーアリーナ。チケットの座席番号からステージ上手側の真横付近であることは分かっていたが、実際に座ると本当に真横であった。おそらく後日発売された、ステージサイド席との境界線なのだろう。野球場で言えばS指定席とA指定席の境目。無論、私はS指定席側である。だからどうした。

お隣の方と挨拶を交わしているうちに、いよいよライブの幕が上がった。ある時はコンサートライトを握りしめ、ある時は握り拳を高く掲げ、ある時はその歌声に魅了され、気がつけば第4ブロックも中盤に差し掛かった。それは愛美さんのソロパートが近づいてきた証拠でもある。

 

その前に『スタートリップ』について、私自身が感じた事をお話ししておきたい。『M@STER SPARKLE 06』の発売日に、Discordのジュリアサーバー『ポルタメント』に投稿した感想を、こちらにも書かせていただこう。

『スタートリップ』を初めてフルで聴いた時、この曲は「アイドルになる前の、福岡にいた頃のジュリアの曲」であり、かつ「アイドルとして頂点を目指す、今現在のジュリアの曲」なのだと感じた。

ジュリアがアイドルとして頂点を目指す中で、泣きたくなるような屈辱(挫折であり失敗であり)を味わう事があっただろう。その中にはゲーム内でも描かれていない、プロデューサーですら知り得ない屈辱もあったかもしれない。

それでも今まで挫けずにアイドルを続けてこれたのは、福岡でロックスターを夢見ていた頃から歌い続けていた、その事実があるからだと思うのだ。アイドルとして躓きそうな時でも、夢を抱いて前へ歩みを進められる。

「どんなに苦しい想いや悔しい想いをしても、あたしは歌い続けてきたんだ!」と。

過去の思い出や経験を踏まえて、ジュリアは未来を見据えて歌っている。『スタートリップ』はこれからも前を向いて歩き続ける、言わばジュリアなりの「決意表明の曲」であり、某氏の言葉を借りれば「超ポジティブな曲」なのだ。

 

これを踏まえた上で、場面をスーパーアリーナに戻す。二階堂千鶴役・野村香菜子さんが『ムーンゴールド』を歌い終え、ステージが暗転したところだ。

しばしの間をおいてステージ最上段にスポットライトが当てられる。今までと同じ様に置かれたマイクスタンドの前にはジュリアの姿。アリーナに響くジュリアを呼ぶ声ーーその余韻を味わった後、彼女はゆっくりと歌い始めた。ここでようやく私は、彼女のギターが今までと違う事に気がついた。私の席からはよく見えないが、どうやら黒のアコースティックギターなのだと。

歌い始めてからは無我夢中でステージを見つめていた。赤のコンサートライトをきつく握り、一挙手一投足を全て見届けようと必死になっていた。しかし残念ながら、私はステージ上での彼女をほとんど覚えていないのだ。それは決して座席の位置ーーセンターモニターがほぼ見えず、サイドモニターもほぼ真横から見ざるを得ないからではない。例えアリーナの最前列席にいたとしても、曲の途中から私の視界がぼやけていた故に、確かめる術を失っていたからだ。

視界はぼやけていても、彼女の歌声は聴くことができた。力強く伸びやかな歌声は、私の心と涙腺を何度も刺激する。頬を何かが伝っている事を認識すると、今度は涙を止める術すらも失ってしまった。コップ一杯に水が注がれているのに、さらに注ぎ続けば水が溢れてしまう。簡単な理科の実験と同じだ。アイドルマスターのライブに参加して4年、私はライブタイトル通りに新しい経験をしたのだった。

 

ライブ終了後。帰路につく私はミリオンライブ!の未来について少し考えていた。グリマス5周年・ミリシタ1周年という節目を、ジュリアをはじめ52人のアイドル達と迎えることができた。そしてこれからも52人のアイドル達と共に歩みを進められる。その中で、DAY 1の終演前挨拶にて舞浜歩役・戸田めぐみさんが涙ながらに語った言葉を思い出した。

「私たちをこんな(SSAのような)大きなステージに連れて来てくれて、ありがとう」

確かに5年前、私がミリオンライブ!と出会ってから、ここまで来れるとは予想もしていなかった。アイドルとプロデューサーとスタッフ、全員の力で5年間歩いて来た結果、SSAに辿り着いた。では次の5年間、SSAから続く道を彼女達と歩くと、ミリオンライブ!は何処まで行くことが出来るだろうか。その答えはまだ分からないが、少なくとも私が帰りに乗った電車は平塚まで行くようだ。

 

前述の通り、ミリオンライブ!にとって4thライブからの1年3ヶ月は、まさに激動の期間であった。グリマスの世界線が終わりと告げ、代わりにミリシタの世界線を歩んでいる。しかしたとえ世界線が変わったとしても、765プロが目指す場所は変わらない。これはMILLIONSTARSにも同じことが言える。お互いに高め合い、今持てるベストを尽くす。その姿に私たちは変わらず熱狂し、魅了されるのだ。

唯一変わった点は、MILLIONSTARSが成長したことだろう。かつて大粒の涙を流したアイドルは、同じアリーナで満面の笑みを浮かべていたのだから。そしてこれからの5年間も今までと変わらず、MILLIONSTARSは変わり続ける。

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